2021年度 本科2年卒業 吉田遥 着物のタイトル 樂土 制作の意図・背景 燃えるような蘇芳の色に支えられるかたちで、わたしにとっての永遠と一瞬、花のいのち、ひとのいのち、炎のように燃え続けている祈りの感情を織りました。降り注ぐひかり、炎、花びらのような存在をひとたびも遮りたくなく、極力緯への介入を避けましたが、ただ一つだけ、十字の星を右の背に配しました。それは星であり、心臓でもある気がしています。 染織への思い どのような策を講じるより、無心に染めた糸ほどうつくしい色が染まったり、織り地の上で偶然に重なった色や、一色織りのなかに得もいわれぬ揺らぎがあらわれ、その美のまえで言葉を失うとき、われわれは草木や藍のしもべにすぎない、という一文が繰り返し頭をよぎります。ときに立ち止まり、考えあぐねながらも、ことばが結ばれるまえの情景や感情、原初的な感覚にこの眼や耳を澄ませ、染織を続けてゆくことができたら、と考えています。