卒業生紹介

2021年度 本科2年卒業 田川徳子

着物のタイトル

紫風

 

制作の意図・背景

ふくみ先生の「母衣への回帰」展図録にある雛型「花群星」に心を掴まれ、その花織の雰囲気を出せないかとデザインを考えました。

丸みのある動きを出そうと、絣の大きさや上下左右の間隔を何種類も描いて模索しました。また1年時の作品は仮仕立(展示用)寸法をメインに考えた為、本仕立(着用時)では柄が途切れたのが残念で、今回はどちらの柄合わせも違和感なく収まるよう縞の幅や間隔を計算しました。

デザイン上、万一うまくいかない箇所があっても裁って衣桁に掛けながら左右・表裏等を決めるという融通はきかず、絣の方向や背中心の流れが合うかどうか、裁ち合わせまでドキドキでした。

 

染織への思い

先日、予科の時の友人と改めて「アルスシムラと出会えて良かったね」という話をしました。お染の『植物の色を水・火・鉱物の力を借り、人の手で糸に移す』、織の『失敗したと思っても戻るより次の色で生かす』。こういった考え方は染織だけでなく、人付き合いや生き方にも通じ、それを共に学べる場に出会えたことを本当にありがたく思っています。

また、糸の命とこの染織を経て身心を守る〈いのちを纏う〉着物が生まれるという事を本科で経験させて頂きました。アルスシムラの建学の精神は《私が染めて》《私が織って》《私が着る》だと思いますが、最後の《着る》に関しても想いを持ち【着物は身に纏ってこそ生きる】という事も、染織の学びと共に、次世代に伝えてゆきたいと思います。

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