卒業生紹介

『着る人をより美しく』を目指して織りました。

キモノは着ると袖（そで）の部分によく目がゆくので、右後ろ袖と左前袖に藍と藍緑をあしらい所作がより美しく見えるようにと思いました。

紬の着物は落ち着いた印象になりがちなのでPOPなものにしたくて色遣いを工夫しました。ランダムに藍、藍緑、金茶などのラインを入れリズムが出るようにと考えました。

タテガスリ（経絣）の着物を制作するとなり1番にヤガスリ（矢絣）をしたいと思いました。大学時代弓道部に在籍しており、過去と現在を往き来しつつ織ることは幸せな時間でした。

絵画や彫刻、建築物などを見ることは以前から好きでしたが造るとなると別の次元の話でした。アルスでは杼を絵筆に植物で染めた糸を絵具にみたてて裂（きれ）を制作しました。平面の裂（きれ）が仕立てを通して着物になり、それを纏（まと）うと立体になる。

デッサン画が彫刻になるような〝その時〟を思いながら機に向かう日々は至福です。

これからも世界中の人々に装う喜びを届けるよう織っていきます。