卒業生紹介

加藤遊

2014年度 予科コース

Q1. アルスシムラに入学したきっかけは何ですか?

NHKの番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」で志村ふくみ先生のことを知り、こんなに美しい色の世界があったのか、と感動して草木染めを教わりたくて、居ても立っても居られなくなりました。

Q2. あなたの「いま」を教えてください。

40年間続けてきた広告会社の仕事が今年定年を迎え自分の時間が増えることをきっかけに学びを深めたいと考え、京都産業大学の大学院の通信で京都文化学を学び始めました。「志村ふくみ研究」をテーマに修士論文に取り組もうと考えています。

Q3. 在学中の学びの中で、「いま」に活きていることを教えてください。

東京でフルタイムの仕事をしながら、毎週土曜日東京駅から早朝の新幹線に乗って日帰りで京都岡崎のアルスシムラへ1年間通いました。同じクラスの仲間には京都在住の方は少なく、岡山、広島、大阪、岐阜、三重から。遠くは、北海道から京都へ移り住んで学ぶ人や、山形から深夜バスで来られる方もいました。染め場の匂いも、機織りの音も、みんなでお弁当を食べながらおしゃべりしたことも、懐かしい宝物のような思い出です。
「惜しみなく命を色を与えてくれる植物は、人間よりも位が上ですよ。」
「私たちひとりひとりの人間はあの世から降りて来た星屑。一生を終えて、目に見えない世界に帰って行く。この世に居る瞬くような短い間に、私たちは何を感じ、何を行い、あの世界に戻るのか。」
アルスシムラで教わったふくみ先生の言葉は、今でも私が生きていく上で大切な道しるべとなっています。草木染めを通して、私たち人間も植物と同じ自然の一部であるということを、改めて強く感じました。同じ季節、同じ植物で染めた色でも、一期一会、二度と同じ色には巡り会えない。染液に白い糸をつけるたびに、今度はどんな色に出会えるだろうとドキドキしたことをよく覚えています。

1年かけて自分で糸を染めて、帯を織って、身に纏うことで、昔の日本の人はみんなそのようにして家族や自分の衣服を手で創っていたのだと想像し、丁寧な暮らしを大切にする文化が尊いと思うようになりました。
そして、日本の伝統である着物文化をこれから先の日本にも残していかなくてはいけないという気持ちが強くなり、京都産業大学で学び直そうと考えるに至りました。まだまだ自分に何ができるのか手探り中ですが、草木染めの素晴らしさ、着物文化の尊さ、志村ふくみ先生の精神を少しでも広く伝えることができればと思っています。

Q4. これから染織を志す人にメッセージをお願いいたします。

もしもあなたがこれから染織をやってみようかどうしようかと迷っているなら、ぜひ一度アルスシムラで草木染めと織りを体験してみてください。必ずしも全員が作家になる必要もないし、職人にならなくてもよいのです。ただ、他では学べない「生きる」ことそのものに触れることができるでしょう。森羅万象に命が宿っていることに気づかされるでしょう。草木と語り、仲間と学び、色と遊ぶ。そんな贅沢な楽しみを人生の中に見つけられたら、きっと幸福な時間を過ごせるはずです。

思い立ったらいつでも、扉は開いています。私は60歳になりましたが、ふくみ先生に比べたらまだまだひよっこ。これからの自分がどのように成長していけるのか楽しみで仕方ありません。

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