卒業生紹介

山川菜生

2013年度 予科コース

2015年度 本科1年コース

Q1. アルスシムラに入学したきっかけは何ですか?

ものづくりや染織に漠然とあこがれている中で、志村ふくみ先生のご著書を拝読し感銘を受けました。染織の技術だけではなく日本文化や染織・色彩への造詣を深め、「染織を通して生き方を学びたい」と強く思い、入学しました。

Q2. あなたの「いま」を教えてください。

縁あって故郷新潟の短期大学で、色彩や繊維に関する授業・研究をおこなっています。若い学生たちとともに色彩について感じ考える日々です。一方で、染織も続けており休日は新潟の植物で糸を染めたり、機織りをしたりしています。一昨年は雪で折れてしまった桜の枝で、この春は剪定後の梅の枝をいただいてお染めをしました。タデアイも育てはじめ、どのような色に染まるだろうかと今からわくわくしているところです。

Q3. 在学中の学びの中で、「いま」に活きていることを教えてください。

在学中、「あなたはどう思う?どうする?」という問いを常に投げかけられていたように思います。何を(どのような作品を)染め織るかの前に、自分にとって「染め織るとは何か」を考えるようになりました。機械やオンラインによって生活が成り立つこの時代に、手を動かすこと、身体性や五感(六感)で色を感じることの重要性も改めて感じています。

教室で蚕を育てたことも印象的でした。蚕のいのちをいただいて糸にするという痛烈な経験を通して、決して綺麗ごとだけではないこの世界の原理のようなものを感じました。アルスシムラで学んだお染めも、植物からいのちをいただいて成り立ちます。この春に梅の枝を染めましたが、「捨てるだけだった枝から色が染まるなんて驚いた。」という言葉を聞き、改めて身の引き締まる思いがしました。色の奥にひそむいのちに想いを馳せ、自己矛盾を抱えながらも責任をもって染め、織りあげていくこと。染織は美しく、しかし同時に鏡のようにすべてさらけ出されてしまうという一種のおそろしさもあり、常に自分という器の純度を高めておかねばならないと感じています。そしてこのことは染織に限らず、あらゆる場面で必要な視点であると思います。

短大での仕事では、学生たちに実際にお染めした色糸を見せたり、色彩にまつわる講義の中で「あなたはどう感じますか?」と問いかけたり。学生の瑞々しい感性を受けて、私の方が学ぶことばかりです。
この根底にはアルスシムラでの学びや、ふくみ先生の「時代にあわせて翻訳しなさい」、洋子先生の「故郷喪失」というお言葉が胸にあります。経糸(時間や歴史、バックグラウンド)をふまえ、どのような緯糸(同時代性、感性、今日の課題など)を織りこんで行動していくか。私自身、考え続けていきたいテーマです。これからも染織をつづけ、実体験を伴いながら、学生たちと色彩や染織文化についてともに感じ考える時間をつくっていければと思います。そしてこれからの時代を生きる彼女らにとって、身近にあふれる色の体験が、自分自身やこの世界を見つめてゆくきっかけとなるよう手伝いができたらと思います。

Q4. これから染織を志す人にメッセージをお願いいたします。

なぜあなたはこの色に惹かれるのだろう?この植物はどのような色になるのだろう?この色糸を織りこんだらどのような風景になるのだろう?・・・染織をする中で、色そのものだけではなく、色の奥にある風景や感覚、記憶、疑問など様々なものが立ちあらわれてくるのではないでしょうか。そのような心の動きをぜひ大切にしていただければと思います。
アルスシムラでの日々は、一生もののかけがえのない時間だったと胸を張って言えます。植物の色との出会い、知らなかった自分自身との出会い、講師の先生方や仲間との出会い、様々な価値観・言葉との出会い・・・たくさんの出会いがありました。
特に全国から集まる仲間との出会いは貴重なものでした。出身地も年齢もバックグラウンドも異なる仲間との日々は刺激にあふれていました。仲間とは今も交流が続いていて、染織だけではなく人生においてたくさんのヒントをいただいています。

「心を強く動かされるものに勇気を持ってください。」
今でも励みにしている洋子先生のお言葉です。
あなたの心が動かされるものに、ぜひ勇気を持って飛び込んでみてください。
きっと、想像以上の世界がひろがっているはずです。

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